はい、というワケで不敵なベーシスト、ワサダ (@wasadama)です。
今回はもう20年来の付き合いになるわたしの永遠のメイン楽器、Gibson Thunderbirdのサンダーくんをご紹介しつつ、これまでに自分で行ってきた改造についてもオススメしていこうと思います。
わたしとサンダーバード。
まず。わたしがこのサンダーバードを手に入れたのは1998年のことです。今からジャスト20年前(!)。
当時わたしは大学でコピバンサークルに所属しており、高校生の時に買ったフェンジャパのジャズベを弾いていました。
そろそろ次のベースが欲しいな~なんて考えていた矢先に出会ってしまったのが、このサンダーバード。
ちょうど池袋の某楽器屋さんで展開されていた「ギブソンフェア」的なキャンペーンで安くなっていたのです。
今、自分で振り返ってもちょっと不思議なんですけど、別にこの楽器を使っている誰かが好きだったとか、はたまた音が好みだったとか、そういうのが全くなかったんですよね…。
もちろん、当時全盛を誇っていたTHE YELLOW MONKEYのベーシスト、ヒーセ氏が使っていることくらいは知ってましたが。そういうのは抜きにして、
ただただ、そのルックスに惹かれてしまった。。
コレに尽きます(笑)。生で初めて見たときのインパクトがすごかったんだよなぁ。これが運命ってヤツか、と(笑)。
当時は実売で18万円くらいだったコイツが、13万弱で売られていたワケで。ちなみに今は少し値上がりして、新品で買おうとすると20万弱くらいみたいですね。
そんなこんなで、
コレは買いだっ…!!
と思いつつも、、超が付く優柔不断体質のわたしはそれから一週間悩み、時々は売れていないか見に行き(笑)。
結局、買うと決めたらろくに試奏もせずに買ってしまったのでありました。
「どーせ楽器のよしあしとかよく分からないし、とりあえず音が出ればOKだろ~」なんて考えていた自分に、今となっては空手チョップかましたい(笑)。
この時チェックが甘かったせいで、後ほど二箇所に初期不良が見つかり、購入してからすぐに一ヶ月以上の入院を余儀なくされました…(笑)。
皆さんも、試奏時は電装系や塗装の状態なども細かくチェックしましょうね(苦笑)。
というワケで手元にやってきたサンダーバード、「サンダーくん」と名付けまして、我が家で一番エラい!ってことでしばらくはテーブルの上に飾りつつ愛でていたのでありました、とさ(笑)。
そしてそれから「THE JACK OF SPADES」というガレージ/ロックンロールバンドで始まったわたしのバンドキャリア、その後「LOVE-BRAND CREW」、「716」、「モーニングフェイセス」、「Palbo」といったバンドでのわたしの片腕として活躍してくれ、ロック系のサポート現場での出番も多く、それはもう数々の苦楽を共にしてきました。
ここまで、かなり手荒にガシガシ使ってきても、トラブルらしいトラブルもなく、当たりの個体だと信じています(笑)。
わたしはこのベースが本当に大好きで、他に数本のベースを所有し、サポート活動が主となった今に至っても、永遠のメインベースとして溺愛は変わっていません。
しかし。サンダーバードと言えばその圧倒的なカッコよさとは裏腹に(?)、とかく使いにくい「じゃじゃ馬」というイメージを持つ方々も多いと思います。
これは実に的を射ていますので(笑)、そこについて少しお話しますね。
「じゃじゃ馬」なサンダーバードのキャラクター。
まず良いところから挙げていきますと、
- とにかくカッコ良い!
- Rock向きのパワフルなサウンド。
- 意外なことにネック幅はかなり細く、運指がしやすい。
片や、マイナスポイントは、
- 「ヘッド落ち」がひどい。
- 音ヌケが悪い。
- 見た目がイカツいので、使う現場を選ぶ。
- ネックが細く、反りやすい。
- さらにスルーネックなので、トラブルがあってもネックの交換不可。
こんなとこでしょうか。良いところは分かりやすいのでスッ飛ばしまして(笑)、マイナスポイントを少し解説します。
「ヘッド落ち」とは、ストラップで楽器を背負った時に、重さのバランスが悪くてヘッド側が下がってしまう状態を言います。
とかくサンダーバードはその個性的な形ゆえ、このヘッド落ちがひどくて有名です(笑)。
ヘッド落ちすると、左手でネックを支える必要があるので腕が疲れやすく、運指に支障が出ることもあります。せっかくネックが細くて弾きやすいのにね。。
また「音ヌケ」に関して。サンダーバードはオールマホガニーのボディに2つのハムバッキングピックアップが搭載されており、音域的にはいずれも中低域に特徴があるスペックとなっています(ちなみに指板は現行品はローズウッド、わたしのものはエボニー、です)。
中低域が出やすいということは、パワフルである反面、ヌケが悪い傾向があるんですね。特に指で弾くとぶっとい音は出るんですが、どうしてもモコモコとこもってしまいがち。。
この楽器に、ピックでガツガツ弾くロックなプレイヤーのイメージが強いのは、こんな特性によるものだと思われます。
一方、そんなロックなイメージがありつつも、ネックはびっくりするほど細くて気候の影響を受けやすかったり(マメな調整必須!)、スルーネックなので折れないように気を使ったり、と繊細な一面も。
何なのもう、一体!(笑)
どうでもいいんですが、スルーネックを恐れるあまり、サンダーくんのネックが折れる夢を今まで何度見たか分かりません(苦笑)。
あ、色んなところに置き忘れるパターンもあるな…(笑)。
※注:わたしが語っている「サンダーバード」はあくまで現行品でありまして、いわゆるヴィンテージのものとは少しキャラクターが異なります。ご了承ください。
そんなサンダーバードを、わたしは基本的に歌モノのバンドで使ってきました。音のヌケが悪いと歌の邪魔をしてしまうことがあるため、音に関しては様々な試行錯誤を繰り返してきた次第で。
あっさり別の楽器を使えば解決したんでしょうけど、「ダメな子ほどかわいい」精神ですね(笑)。当時はどうしてもサンダーバードでいきたかったんです。
合わせてヘッド落ちの対策にも色々と手があるのですが、不思議なことにその対策が、そのまま「音ヌケの悪さ」の向上につながるのです。
数々のカスタムを経て、自分的に今はこの楽器のベストな状態を作れた!と思っているので、次はそれについて少し語っていきますね。
サンダーバードと言えば、の「ヘッド落ち」とその対策。
ではまず、悪名高きヘッド落ちの対策から。自分なりに講じたものについて詳しくご紹介していきます。
なお、ストラップピンの位置を変えてバランスの改善を図る改造もポピュラーなようですが、わたしはサンダーくんに穴を開けるのが忍びなかったために試していません。。
何はともあれ、ストラップを滑りにくいものに!
楽器本体のバランスが悪いために起こるヘッド落ちですが、ストラップの素材を滑りにくいものにするだけでもだいぶ改善されます。服や身体にあたる部分が革、特にスウェードのものがオススメです。
参考までに、わたしが使っているのはコチラ。
幅が広いものを使えば、さらなる安定が期待できますが、あまり幅広でコンフォートなヤツだとサンダーバードのスタイリッシュさを損ねる気がするので(笑)、このくらいの幅がベストかなと。
以前ツアーに出た時にストラップを忘れ(苦笑)、出先でアー○ーのストラップを買ってしのいだことがありますが、ツルツルしてどうも落ち着きませんでした。。
どんな楽器でも滑りにくいモノの方が演奏性が上がる、と思います。ま、多少ですけどね。
ブリッジをHIP SHOT製「3 Point Super Tone Bass Bridge」 に。ヘッド落ちと音ヌケの改善が同時に図れます。
ストラップだけの対策では不十分だ、と感じる方には次の一歩。ブリッジの交換です。
わたしの場合は、元はと言えばオリジナルのブリッジが経年劣化で割れてしまい、交換用のパーツを探したものの見つからなくて、やむを得ずこのブリッジを選んだ経緯があります。
楽器屋さんで相談したところ、純正品は入手困難とのことだったし、Gibsonの、特にベースのリプレイスメントパーツは選択肢が全くなく、もはやコレ一択だったんですね。
Fender系のものはあんなに潤沢にパーツがあるのに。。
ところが、コレがサイコーだったのであります。今となっては、Gibsonタイプの三点止めブリッジが付いているベースは全部コレに替えた方がイイ!と言ってしまいますよ(笑)。
まずこちら、無加工で交換が可能です。そしてブリッジ自体がオリジナルのものより重いため、ボディ側の重量が増え、結果としてヘッド落ちが軽減します。
またブリッジとしての基本的な機能も優秀で、オリジナルの三点止めタイプは、弦高の調整が弦ごとにはできないので細かい調整が不可能なのに対し、コレは個別に弦高調整が可能だし、弦間のピッチもいじれます。
それからボディにがっちりと密着するので、出音がタイトになるのが高ポイント。ローはグッと締まり、ハイももうひと息出るようになる。
つまり音ヌケが良くなるワケです。
見た目がちょっと鉄仮面みたいでイカツいので(笑)その辺の好き嫌いは分かれそうですが(実際わたしも初めは抵抗があった…)、機能面の素晴らしさから、今となっては迷いなくオススメします!
ちなみにHIP SHOT製品は、サウンドハウスでの購入がとにかく安くてオススメです。コチラからどうぞ(笑)。
HIP SHOT ( ヒップショット ) / 3 Point Super Tone Bass Bridge Chrome
ペグをHIP SHOT 製「Ultralite」に。
この時点で、ヘッド落ちに関してはデフォルトの状態に比べると、気にならないくらいのレベルまで軽減されていると思います。が、もう一声!ってことでさらに対策を進めます。ペグの交換です。
HIP SHOTの「ウルトラライト」は、その名の通りメチャ軽いペグなワケですが、コイツに替える事によりヘッド部の重量が大幅にダウンし、左手の自由度が飛躍的に上がります。
運指もラクになるし、大きくグリッサンドしてもバランスが不安定になることがありません。わたしはグリスを多用するタイプなので、これは非常にありがたい。
これにてヘッド落ちの対策は万全!
(個人的な感覚です:笑)
また、ペグが軽くなることによるサウンドの変化もございます。
ヘッド部の質量が減少したことにより音のキャラクターが少し軽くなる傾向がありまして、ヤンチャさが多少なくなった感じでちょっと残念なのですが、、代わりにヌケが向上します。
つまり、ヘッド落ちの対策のつもりでブリッジとペグと替えてみたら音ヌケの向上も図れてしまった、という予想外の効果が得られてびっくり、というワケです(笑)。
2つとも替えると、生音からしてガラリと変わります。
そしてこのペグがまた、今まで使ってきたペグの中でも群を抜いて良い製品です。
安定性、操作性、どれをとっても文句ナシ。何なら手持ちの楽器を全部コレにしてしまいたいくらい(笑)。
コレに至ってはよその半額くらいで買えてしまいますので、購入するならやっぱりサウンドハウスにしましょう。↓からどうぞ(笑)。
HIP SHOT ( ヒップショット ) / HB6Y-3/8 Y Key Ultralite Chrome
ヘッドに差し込むブッシュのサイズが二種類あるので、ここは少し注意が必要。
わたしのは3/8インチでほぼぴったりでしたが、製造された年代によって径の大きさが異なったり、取り付け時に加工が必要なこともあるようです。
ちなみにわたしはサウンドハウスで購入し、取り付けは行きつけのリペアショップにお願いしました。ビス穴を改めて開ける必要があり、自分では無理だな~と思いまして。
音や見た目の変化に関しては正直、好みがあると思うので何とも言えませんが、ヘッド落ちへの効果はとにかくバツグンなので、上記の対策はすべて全力でオススメできます。
サウンドや見た目を気にされる方は、物は試しと上からひとつずつやってもらうのも良いかも知れないですね。
その他、オススメ改造など。
また、ヘッド落ちとは関係のないちょっとした配線カスタムのオススメについて。
- ふたつのピックアップをまとめて一つのボリュームポットに。
- トーンポットをフルアップ仕様に改造。
- ジャックをサイドからフロントに移設。
- ジャックをステレオジャックに変更(これのみあまりオススメできません…)。
など、行っています。いずれも音ヌケの向上を狙ったちょっとしたカスタムですが、合わせ技でそれなりの効果が得られている…と信じております(笑)。
元々ジャズベと同じような2ボリューム1トーンのコントロールだったところに手を加え、ボリュームポットをひとつにするのは、元はと言えば操作性の向上を狙ったものだったのですが、これも結果的に、ピックアップ→アウトプットジャックまでの抵抗が半減したことにより信号のロスが少なくなり出音が元気に、という予想外の効能がありました。
しかも当初はトーンポットも取っ払って完全1ボリューム仕様にしていまして。これはこれで非常にすっきりして好きだったのですが、後になってさすがにトーンは必要だな…と感じ、増設したのです。
が、トーンを追加したらしたで、今度はコンデンサをヌケの良いものにしなければ…!という強迫観念が働き。。こーいうの、もはや沼ですね(笑)。
色々情報収集した結果、コンデンサを替えるよりもトーンポットそのものに手を入れたほうが良さそうだ、ということになり、フルアップポットを自作するに至りました。
フルアップ、すなわちトーンがフルの状態だとコンデンサを完全にスルーした形になり、音質の変化を回避できる、という代物です。
自作といっても、市販のポットにちょっと手を加えるだけなのでカンタンです。
市販のものだと、SONIC製が有名ですね。
これも地味ながら効果のあるカスタムですので、気になる方はチェックしてみてくださーい。
と、ジャックを移設したのは、完全に見た目の好みの問題です(笑)。というのも、実はヴィンテージのサンダーバードはフロントジャックなんです。
それをマネしました(笑)。サイドジャックの方がモダンで使い勝手がいい、とされていますが、スタンドに立てかけた時にケーブルのプラグが挟まってしまったり、個人的にはあまり好きでなくてですね。。
ジャックの調子が悪くなった時に、「えーい、勢いでやってしまえ!」と、遂にサンダーくんにドリルで穴を開けてしまいました…!
画像の右下が自分で穴を開けて取り付けたジャックです(配線が汚いのはご愛嬌…笑)。
で、これ見てもらえると分かると思うんですが、下半分って、元々まったく使われてないスペースなんですよ。
他のモデルの流用で機械的にザグリを入れたのか、はたまた改造を前提に作られているのか…ナゾです(笑)。
そういえば以前、ここにアクティブ回路を入れる改造をしたという人がいましたねぇ。指弾きで使うにはやっぱりヌケの良いアクティブにする必要があって…とのこと。
で、ジャックを替えた際に、元のモノラルジャックからステレオジャックに変更もしています。
本来ステレオジャックはアクティブの楽器に取り付けるものなんですが、パッシブ楽器に付けても、出音の情報量が増えヌケがよくなる!という話を以前聞いたことがありまして。
これも見よう見まねで自分で作業。
プラグと接する端子が2本付いているステレオジャックは、差し込んだ時の感触が「ガチッ!」と気持ちよいです。
音の方もさらにハリが出た…気がします(笑)。
が、しかし。
端子が元のものより長く、コントロール部の裏フタに干渉して、ぴったり閉まらなくなりました~(泣)。
仕方ないのでフタがパカパカした状態で、テープで押さえて使ってますけどね…。
これがオススメしない理由です(笑)。
おしまいに。
とまぁ、長々とお付き合い、ありがとうございました(笑)。
繰り返しになりますが、サンダーバードが本当に好きでして語り出すと止まらないもので、、(笑)。
オススメ改造については自分で試して効果が実感できるものばかりなので、ヘッド落ちや音ヌケの悪さに悩まされているサンダーバーダーの皆さま、ぜひぜひ試してみてくださ~い!!
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