はい、というワケでベーシストのワサダ(@wasadama)です。
先日より始めました、【ベースのピック弾きを語る】シリーズ。
本日は第二回、ピック弾きのメリットとデメリット、です。
こういうの、人それぞれ考え方は多種多様にあるとは思いますが、ピック弾き歴25年、現在はピックと指弾きを併用し、様々な現場のサポートをしているわたくしなりの意見を語っていこうと思います。
ピック弾きのメリット。
ではまずメリットから。
ピックならではのサウンド。
何はともあれ、やっぱりコレでしょう。わたしがピックを使う主な理由が、そのサウンド、です。
「この曲はピックの音が欲しいな~」という時がピックの出番!というワケ。
硬質なアタック
ピックサウンドの特徴としては、指では出せない、「点」で出る硬質なアタックです。
「ゴリゴリ」と表現されることもありますね。
音ヌケの良さ
「硬質なアタック」に通じるところもありますが、「カリッ」と明るいヌケ方をするのもピック弾きの特徴的な魅力だと思います。
ピックは、弦に当たる面積の影響で指弾きよりも低音が控えめになる傾向があり、それゆえのヌケの良さ、とも言えるかも知れません。
ドライブ感
そして、そういったアタックを連続して出すことにより生まれるドライブ感。
ストレートでテンポが速い、ロックな雰囲気の曲などにぴったりハマります。
意外と多様な音も出せる。
が、しかし。
ゴリゴリやロックだけがピックの持ち味ではございません!
右手のブリッジミュートを組み合わせることにより、「プクッ」としたアタックで、サステインの短い音を出すこともできます。
ビートルズのポールマッカートニー御大が、リッケンバッカーやバイオリンベースなどで出している「あの音」です(笑)。
親指で弾く、いわゆる「いかりや奏法」のピック版とも言えますが、ピックの方が親指一本よりも自由度が高いので、身に付けておくと密かに役に立つ奏法です◎
また、ピックの材質や硬さ、形などでも出音が変わってくることを利用し、ピックのセレクトにより音色に幅を持たせることも可能。
この辺を色々試すのも楽しみだったりします。
とっつきやすさ。
それから、「とりあえずベースを始めたい!」という方が最初に取り組む奏法として、ピックは指弾きよりもとっつきやすいです◎
左利きでも、右で始めるハードル低し
というのも、前回の記事でも書いたように、わたし、左利きなんですね。
で、左利きのわたしが右用の楽器でベースを始めたころに、ピックと指の両方を試してみた結果、「圧倒的にピックの方が弾きやすかった」という経験によります。
ギターとの互換性
また、ギターが弾ける人なら当然のようにピックが使えますよね。そういう人なら、ピックですぐにベースが弾けてしまいます。
指弾きって、いわゆるツーフィンガーでも、日常とはまったく違った指の動かし方をしないとなので、突然「はい、やって!」と言われてできるものではありません(笑)。
ピックでももちろん特定の筋力や腕の使い方などが必要で、初心者がいきなり出来るかというとそうではないですが、指弾きと比べるとハードルが低い、と思います◎
ピック弾きのデメリット。
では、次にデメリット。
ミュートの面で不利
まずはコレ。ピックと指を比べてみないと実感として得づらいところではあるんですが、なかなかデカいデメリットなんですね。。
ここでいう「ミュート」とは、不要な弦を鳴らさない、ということです。
弾かない弦に手や腕のどこかしらを触れさせることにより音が出ないようにする、基本的だけどとても大事なテクニックのひとつです。
指弾きでは、親指を弦に乗せることもあり、これが重要なミュートの役割を果たします。
また、ツーフィンガーでは弾いていない方の指や、薬指と小指をミュートに回すことも可能。
つまり、右手でのミュートをかなり柔軟に行うことが出来るワケです。
しかし、ピックではこうはいかない。。
その分、左手でのミュートが重要になります。
もちろん、左手だけでもある程度しっかりミュートできるし、右手も手刀部分(ブリッジミュートに使うところ)や、薬指や小指も組み合わせて工夫することで、かなりカバーすることは出来ます。
とは言え、ここは間違いなく指弾きにアドバンテージがありますね。
ピックがないと弾けない
これもかなり致命的なデメリット。。
忘れた、落とした、なくした、などで手元にピックがなければピック弾きはできません…!
超当たり前だけど!(笑)
ライヴ中にピックを落としたりしても大変ですよね。。
指弾きがろくすっぽできなかった頃のわたくしは、このデメリットを回避するために、ステージ上ではマイクスタンドに5枚貼り付け、ポケットに1枚忍ばせ、足元に1枚置いて…などといたる所にピックを配置していました(笑)。
…そのおかげで油断して、しょっちゅう失くしてましたけど(笑)。
ま、指でも少しは弾ければ、ここまでしなくても良いですよね。。
出音が指と比べて細くなる。
上記のメリット面でも少し触れましたが、ピック弾きだとアタックが出て音ヌケがよくなる一方、低音が出にくいため音が細くなってしまう、という傾向があります。
これを補うために、わたしも一本のライヴでピックと指を使い分けるときなどはプリアンプを使ったりしています。
過去記事で解説をしていますので良かったら合わせてお読みくださいまし。
また、トーンコントロールを活用することもあります。
トーンを少し絞ってやるとハイが押さえられ、相対的に低音が前に出てくるので、ピックのアタックを殺さない程度に使えばとても有効です。
ピックだけで弾く時は、アンプのセッティングで少し低音を多めにしてやれば良いですね。
そんなこんなで、音作りでちょっと工夫をしてやれば解決するので、大きなデメリットというほどのことではないかも知れません。
右手と左手のシンクロが難しい
これも実際にピックと指を比べてみないと分かりづらいかも、なデメリットです。
「シンクロ」と表現してみましたが、「左手で押さえて→右手で弾く」という一連の流れを行う際の、右手と左手の一体感、みたいな感じです。
果たしてこれで伝わるかな…?
特に速くて細かいフレーズなんかを弾く時に、押さえて(左手)→弾く(右手)という瞬間的な流れのタイミングが合わないと、しっかり音が出ないワケですね。
このタイミングを合わせるのが、ピックの方が指よりも難しい、のです。
なんかここまで書いてて、これって自分だけかも?と思ってきたのですが(苦笑)。
ピックで弾く方が、タイミングを合わせる意識をちゃんと持たないとズレることがあるもので。
「押さえる」と「弾く」の両方を、自分の体だけで行う指弾きの方がやはりシンクロ率は高いんだろうなーと長年感じていたのですよ。
同意してくれる方、求みます(笑)。
ピック弾きはダサいイメージ?
そして最後は、「ピック弾きイメージ良くない問題」(笑)。
Googleで「ベース ピック弾き」と検索すると、その後に「ダサい」というサジェストが出てきます(笑)。
要はそのワードで検索する人がたくさんいる、というワケです。
デメリットというとアレかもですが(笑)、そういう捉え方をする人もいる、という事実。
また「ダサい」と一蹴されてしまうだけでなく、指弾きのプレイヤーからは何となく下に見られる、という風潮があるように感じます。
個人的な考察として、あくまで何となくなんですが「指弾きの方がピック弾きよりもうまそうに見える」からではないかと。
一般的にピックで弾かれるようなロックやパンクは、シンプルなプレイで成り立ってしまうので、難しいことをする人はあまりいません。(注:あくまで一般論です)
やや言いすぎですが、そこから「シンプル=ヘタ」みたいなイメージにつながってしまうのだと思います。
もう少し突っ込んでみますと。
エレキベースも、元をたどればコントラバス。弓や指で弾くものだったワケです。
で、自然な流れとしてエレキベースも指で弾かれていたのが当たり前だったのでしょう。
それをピックで弾く、というのはある意味、邪道。
邪道ゆえに、下に見られたり良くないイメージが付いたりしたのかも?というのが一つ。
また、わたしも書いたように、とっつきやすさとしてはピックに軍配が上がります。
つまり、ピック=指で弾けない人が使うもの、というややマイナスな捉え方もあるのかな、と。
ま、こういうのは完全に好き嫌いの問題でありまして、、あまり掘り下げても仕方ないか、と思うのでこの辺で。。
個人的にはピック弾きも指弾きも、超カッコいいと思ってます!
ベーシストはみんなカッコいいんですよ~!(笑)
余談ですが、腰の辺りにサンダーバードを構えピックで弾き倒していたころのわたしは、ストラップを短くし、高めにベースを担ぎ、指で弾くスタイルはちょっとダサいな…などと思っていました(苦笑)。
が、現在はそのダサいスタイルにすっかり落ち着いています。人の価値観なんて、こんなものです(笑)。
まとめ。
と、いうワケで、今回はわたしなりに「ピック弾きのメリットとデメリット」について語ってみました。
冒頭にも書いたように、様々な考え方や捉え方があると思いますので、ご意見やご感想などいただけるとうれしいです~◎
内容に入れそびれましたが、ピック弾きって指弾きに比べると少数派なんですよね。統計があるワケではないので、わたしの体感的にですけど。
そんなのもあって、ピックについて語れる「ピック仲間」がもっと増えたらいいな、というのが密かな野望だったりもします。
これまで指でしか弾かなかった方や、これからベースを始められる皆様、ぜひぜひピック弾きを始めてみませんか~?
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