はい、というワケで不敵なベーシスト、ワサダ(@wasadama)です。
シリーズでお送りしている【ベースの音作りを考える】。久しぶりの更新です。
今回は、とっても大事な「ライブにおけるモニター」のお話。
ベーシスト的にはモニターをどのように使うべきか?というコトを、節操のない現場経験からお伝えしてみようと思います。
わたしが参加する機会が多い、「歌モノのバンド」を想定してのお話です。
ではざっくりポイントを目次にて。
まず、モニターとはなんぞや?
ライブハウスで言うところの「モニター」とは、足元に置いてあったりステージ脇に立てられているスピーカーのことで、「コロガシ」とも呼ばれます。
ここから各パートの音をPAエンジニアさんに返してもらい、演奏しやすい環境を作るための、ヒジョーにありがたいものです。
会場リハーサルはモニターのバランスを整える時間。
ライブハウスでのリハーサル(サウンドチェック)は、PAさんが全体の音を作るのと同時に、わたしたち演者はこのモニターのバランスを作るための時間として設けられています。
およそ20~30分という短い時間に、どれだけやりやすい環境を作ることが出来るかで、その日の本番の出来にも影響してくるのでとても大事なのです。
ベースアンプもモニターです。
ライヴにおけるベースの信号(音)は、ダイレクトボックス(DI)を介して、アンプに送られるもの(中音)とPAさんのミキサーに送られるもの(外音)に分かれるケースが多いです。
で、ミキサーに送られる方が「ライン」の音と呼ばれます。対義語は「アンプ」の音。
ポイントとしては、アンプから出ている音と、客席に向いたスピーカーからお客さんへ向けて出る、いわゆる外音は別の信号である、ということ。
つまり外音はベース本体から出ている「素」の音なので、アンプでどんなに音を作りこんでも、それは外音には反映されないワケですね。
スピーカーから出る外音は、全体のバランスやライブハウスの特性を考慮しつつPAさん側で作られます。
アンプの前にマイクが立っている場合は、そこから音を拾ってラインとミックスして外に出すケースもありますが、基本的に外音はPAさんのサジ加減です。
ちょっとややこしい話になってしまいましたが、何が言いたいかというと、
ベースアンプの主な役割は、ベーシストのためのモニターである。
ということ。
自分で聴きやすく、弾いていて気持ちよい音がベスト。
なので、目指すべき音作りの方向性としては、外音を考えるのではなく、あくまでも自分のやりやすさ、気持ちよさがポイント、です。
わたしの経験上、やりやすい環境が作れた時は演奏の出来も良いことが多いです。モニター環境に気を取られることなく演奏に集中できますからね。
他のパートを邪魔しない。
とはいえ、自分が気持ちよいというだけで、他のパートに悪影響が出るようでは当然ダメ、です。
ベースは低音楽器ですが、ローを出しすぎるとステージ内で低音が回ってしまったり、他の音をマスキングしてしまうので、ここが一番キモと言えます。ローをうまく調整して、自分の音も他の音もすっきり聴こえるポイントを探しましょう。
そして、音量も大きすぎるとやはり他のパートの邪魔になりますので注意です。
ステージ内でボーカリストと距離が近い場合は、歌いにくくないか、低音感や音量など問題ないか、聞いてみるのもひとつの手ですね。
以前の記事で、リハーサル時のアンプのセッティングについて解説しましたが、ライヴの場合も基本的には同じ考え方です。そちらも参考にしていただければと。
音量が足りないときはアンプを近づける。
ベースをもう少し聴きたいけど、 全体のバランスを考えると音量的にはここが限界かな…?という時は、アンプの位置を変えてみます。
ライブハウスでは、ベースアンプは外音に影響を出さないために後ろの方に設置されていることが多いです。
そのため、自分の立ち位置がステージ前方で、アンプとの距離があると音圧を感じられないようなことも。
そんな時も、アンプを前に出すことで解決します。
自分とアンプの距離を近づけて、音を聴こえやすくする。至って単純な話です。
つまり、滅多にないとは思いますが、前に出すのを断られた時は、自分が後ろに下がればOK(笑)。
ステージが小さめでアンプまでの距離が近い場合は、そもそも音量が足りないってことはあまり起きない、ハズ。
これで解決しない場合は、足元やステージ脇のモニターから自分の音を返してもらうことも出来ますが、個人的にはあまりオススメしません。
詳しくは以下で説明していきます。
モニタースピーカーからは極力、音を返さない。
わたしは、足元やステージ脇のモニタースピーカーからはラインもの(歌、キーボード、アコギなど)のみを返してもらう、というのを基本にしています。
理由としては、シンプルに、少ない方がスッキリしていてやりやすいからです。
なので、モニター環境づくりとしては、ラインものだけを返してもらった状態から、足りないものを少しずつ返してもらう、という流れになります。
実は以前は、会場リハーサルの際に
「とりあえず全体の音とドラムの三点をくださーい」
なんてワケも分からずモニターの注文をしていました(笑)。
当然ながら、それではやりやすい環境を作ることは困難で、なんだかやりにくいな~、と本番でも首をかしげながら演奏することが多かったですね。。
そしてある日、先輩ドラマーさんからアドバイスを受けて、ドラムを始め他の音をスパッと切ってもらったところ、
これは素晴らしいスッキリ感!
と、目覚めの時が(笑)。
当たり前なんですが、他の音がなくなることで、自分の音が聴こえやすくなるんですね。
特にドラムのキックなんかはベース音のアタックとカブる部分があって、ここがあるとないでは、ベースの聴こえ方が全然変わってきます。
ドラムって、ちゃんと聴こえないとなんだか不安になるので、何も考えずにモニターから返してもらっていたのですが、実は生音でも十分聴こえるんです。
もちろんステージの広さやライヴハウスの規模にもよりますが、わたしがよく出ているような、キャパが100~300人クラスのお店であれば、ドラムはまず返してもらわなくて大丈夫。
他パートが聴こえなくてやりづらい場合、少しだけ返す。
それからギターについては、ステージが横長だったり、アンプの向きが外側に振られていたりすると、ベース側(基本的に下手)には聴こえにくいケースもあります。
全然聴こえないと、曲の進行を把握できなくなったりテンションが上がらなかったり(笑)と、良くない事もあるので、その時は少しだけもらいます。
この時、「少しだけ」というのが大事で、スタジオと同じような聴こえ方を狙ってガッツリともらってしまうと、今度は自分の音が聴こえにくくなったりしますよ(笑)。
スタジオでの音とは別モノであることを心得よ(笑)。
これも実はかなり大事で、わたしも「モニターなんてよく分からなかった時代」は、やっぱりなんとなくリハーサルスタジオでの聴こえ方を指標にしていた、のではないかと思うんです。
スタジオって、音が近くてデカくて気持ちよいですからね。「ライヴのステージでもあの音がカオスに混ざった感じでやれたらテンション上がるよな~」、みたいな。
でもやっぱり「あの感じ」って、スタジオの狭い部屋ならではなんですよね。
あれをライブハウスに求めてはいけない!と認識できると、意識が変わるのではないかと。
それを経て、現在のわたしは。
実際わたしはそれに気付き、モニター環境はすっきり感を重視して作るようになってからは、自分の音と歌さえ聴こえれば問題なく演奏ができるようになりました。
今では、会場リハーサルではほとんど注文を出しません。全体の音を聴きつつ、自分の音量を調整し、ラインものの音量を調整してもらってハイ終了、です。
トシを取って細かいコトを気にしなくなった、ってのもあるかも知れません(笑)。が、ライブハウスだけでなく、野外や小さな飲食店など、色んなところに出演する機会が増えると、もはやモニターなどないところでの演奏も当たり前、という感じになりまして。
冒頭の話と矛盾するようですが、環境を気にすることなくきちんと演奏が出来るようになったと言ってもいいかも知れません。
もちろん良い環境の方がやりやすいですし、いい結果にはつながるのでしょうけど、あまり環境に左右されるようでは、わたしのようなプレイヤーは生きていけません。
これからもどんなところでもベストを尽くす!の精神でいきます(笑)。
最後にまとめ。
おっと、話がちょっと逸れましたが、まとめますと。
今回はわたしなりのモニターの使い方や考え方を紹介してきましたが、大事なのは、どんな環境だとやりやすいのか?というのをちゃんと考えた上で、モニター込みでの中音作りに向かえるかどうか、だと思います。
バンドならそれを全員で共有するのも重要ですね。
そこを詰められていないと、かつてのわたしがそうだったように、会場リハーサルにやたらと時間がかかってしまったり、あれこれ注文した結果、やりやすい環境が作れなかったり、ということも起きかねません。
この記事を読んでいただくことで、そんな事態を避けるための一考につながれば良いな、と思う次第です。
ご意見、ご感想ございましたらお気軽にコメントくださいませ~!
▼【ベースの音作りを考える】まとめ記事です。